卵巣嚢腫の治療薬とは?
ここでは、「卵巣嚢腫の治療薬」
についてお話します。
卵巣嚢腫とは、
卵巣にできる腫瘍の1つです。
「卵巣に腫瘍があります」
といわれると、
がんになってしまったのかと
不安になりますね。
腫瘍には治療を行わなくても
体に害を与えない良性と、
異常なスピードで増殖し周囲の
組織に悪影響を及ぼす悪性があります。
卵巣嚢腫は、体に害を
与えない良性の腫瘍のことです。
良性の腫瘍であれば
自然に治ることもあり、
大きさが小さければ
経過観察を行うこともできます。
卵巣嚢腫は、
主に4種類に分類されます。
卵巣嚢腫の種類によって、
薬での治療をする場合があります。
今回は、卵巣嚢腫の
薬物療法についてご紹介します。
卵巣嚢腫の主な種類
卵巣にできる腫瘍は20種類程
ありますが、ふくらんだ中に
液体がたまっているものを
卵巣嚢腫とよびます。
卵巣嚢腫はその内容物に
よって下記の3つに分けられます。
・漿液性嚢腫(しょうえきせいのうしゅ)
サラサラした水のような液体がたまります。
・粘液性嚢腫(ねんえきせいのうしゅ)
ネバネバした卵の白身の
ような粘液がたまります。
・皮様嚢腫(ひようのうしゅ)
中身はドロドロの油の成分や
髪の毛、歯、骨、軟骨などです。
なぜ卵巣の中に分泌液がたまるのか、
原因ははっきりわかっていません。
また、卵巣嚢腫と診断されても、
月経後に卵巣のはれがおさまり腫瘍が
自然になくなっていることもあります。
このほかに、子宮内膜症の
影響でできる卵巣嚢腫があります。
・チョコレート嚢腫
子宮内膜症の影響で、
月経のたびに出血した血液が
卵巣内にたまり腫瘍となったものです。
子宮内膜症とは、子宮内腔を
おおっている子宮内膜、
あるいはそれによく似た組織が、
卵巣や卵管など、子宮内腔以外の
場所に発生してしまう病気です。
別の場所に発生した組織は、
女性ホルモンの影響をうけて、
本来の子宮内膜と同じように
月経のたびに増殖しはがれ落ちます。
しかし、月経血と違って流れる
出口がないため、
その場にたまってしまいます。
やがて、周囲の臓器や組織と
癒着を起こしてさまざまな症状を
引き起こすようになります。
卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)の治療
チョコレート嚢腫は、
初経から閉経までの
生殖可能年齢の女性に発症します。
重い生理痛の原因になったり、
月経でないときでも下腹部痛や
吐き気や下痢などもおきることがあります。
また、不妊の原因になることがあります。
チョコレート嚢腫のはっきりした
原因はわかっていませんが、
中には最初は良性であっても
がん化する場合もあるため、
治療については医師とよく
相談する必要があります。
チョコレート嚢腫の治療には
手術療法と薬物療法があります。
根本的に治療したいのであれば、
手術療法を行います。
薬物療法は根本的な
治療ではありませんが、
症状の抑制や進行を
止めることができます。
卵巣嚢腫(チョコレート)の薬物療法
・ホルモン療法
薬で月経を一定期止め、
閉経と同じ状態にして、
病変を小さくする治療方法です。
皮下注射または、点鼻薬で、
卵胞ホルモンの働きを抑えて、
閉経と同じ状態にします。
副作用として体のほてりやイライラ、
頭痛などの更年期の症状が
出ることがあります。
また、使用期間は6ヶ月まで
と制限されています。
・対症療法
生理痛などの症状を軽くするため、
それぞれの症状に合わせて薬を
使う治療方法です。
生理痛を緩和する鎮痛剤や、
ホルモンをコントロールし、
生理痛を軽くする低用量ピル、
症状を緩和する漢方薬などを、
症状によって使い分けます。
いつまで服薬を続けるかは、
現在の状態と今後卵巣嚢腫が
どれくらいの大きさになるかなどにより、
人それぞれ異なります。
このように、卵巣嚢腫は自然に
経過観察していくものと、
手術・薬での
治療が必要なものがあります。
治療方法については、
卵巣嚢腫の大きさ、本人の年齢、
妊娠・出産を希望しているなどを
考え決定していきます。
どの方法をとるか、婦人科の医師と
よく相談して決めるとよいでしょう。
また、経過観察の場合、
気になる症状がなくても
定期健診を受けるようにしましょう。