卵巣嚢腫の大きさは変化するの?
ここでは、「卵巣嚢腫の大きさは変化するのか」
についてお話します。
卵巣は沈黙の臓器とも呼ばれており、
卵巣嚢腫の場合、
ある程度大きくなるまで
痛みなどの症状が発生しないため
発見が難しいとされています。
卵巣嚢腫は大きくなると茎捻転といって
ねじれてしまうことで強い痛みを発生させ
ショック症状を起こすこともあり、
大きくなる前に発見することが
非常に大切になります。
今回は卵巣嚢腫の
大きさの変化についてご紹介します。
卵巣嚢腫はどのようにして大きくなるのか
卵巣嚢腫には様々な種類があり、
種類によって大きさの
変化が異なってきます。
・チョコレート嚢腫
チョコレート嚢腫は子宮内膜症が
卵巣にできてしまった状態です。
卵巣にできてしまった子宮内膜が
月経周期に合わせて出血を起こしますが、
出血をしても卵巣には血液を
外にだす機能がないため、
血液がどんどん卵巣に
たまってしまいます。
子宮内膜には月経が終わると
止血のための粘着成分を
分泌する作用があり、
その成分の影響で卵巣内に
血の塊のような嚢腫ができてしまいます。
これを放置しておくことで
チョコレート嚢腫は大きくなり、
卵巣がんとなってしまうこともあります。
チョコレート嚢腫は卵巣嚢腫の中でも
20〜30代の女性に多く
ピルやホルモン剤による治療、
場合によっては手術で摘出する
必要があります。
・皮様嚢腫
卵巣では卵子をつくるための
細胞分裂が行われています。
卵子には赤ちゃんの毛髪や歯、
皮膚などのもとになる細胞が
詰まっていますが、
これらの細胞が分裂異常を起こし、
個別に成長して塊になってしまう
ことで発生するのが皮様嚢腫です。
皮様嚢腫は細胞がゆっくりと
成長するため
比較的大きくなる速度は遅いです。
皮様嚢腫は妊娠に合併しやすい
卵巣嚢腫であり
検診で偶然発見される場合も多いです。
・漿液性腺腫
卵巣内にさらさらとした液体が
溜まっていくタイプの卵巣嚢腫です。
卵巣嚢腫の約25%を占めており、
非常に頻度の多いタイプです。
大きくなると握りこぶし大
ほどまでになり、
縮小することはありません。
手術での摘出が必要になります。
・粘液性嚢腫
嚢胞の内部にねばねばとした
液体が溜まっていく卵巣嚢腫です。
粘液性嚢腫は巨大化することが多く、
嚢胞が破れて内部の粘液が飛散し、
腹膜炎を起こしてしまうことがあります。
最悪の場合命を落とすこともあるので
巨大化に特に注意が必要な
タイプの卵巣嚢腫です。
卵巣嚢腫が巨大化するとどうなるのか
卵巣嚢腫は静かに進行するため
症状が出てきたころにはかなり
大きくなっている
ことも珍しくはありません。
卵巣嚢腫の大きさが変化しているときの
症状の特徴をご紹介します。
・下腹部の膨満
卵巣嚢腫は大きく成長すると
下腹部が膨らんできます。
ウエストが大きくなったり
今まで履いていたスカートや
パンツが入らなくなりますが
徐々に大きさが変わるタイプの
卵巣嚢腫では
「太っただけかもしれない」
と見逃されてしまうことも
少なくありません。
・下腹部の痛み
卵巣嚢腫は大きくなると
周囲の組織を引っ張ったり
圧力を加えてしまいます。
特にチョコレート嚢腫の場合には
周囲の組織との癒着を
引き起こしやすく、
下腹部痛が起こりやすいことが
特徴です。
卵巣嚢腫は多くの場合、
片側の卵巣にできるため
生理ではないときに
生理痛のような痛みが
片側に起こることで
異変に気が付く方も多いです。
・便秘や頻尿
卵巣嚢腫が大きくなることで
膀胱や直腸を圧迫し、
排尿障害や排便障害を引き起こします。
膀胱が圧迫されると頻尿になり、
直腸が圧迫されると便秘になります。
・ホルモンバランスの乱れ
中にはホルモンバランスを
崩してしまうタイプの
卵巣嚢腫もあります。
閉経しているのに再出血を起こしたり、
男性ホルモンを作り出すタイプの
嚢腫では多毛や筋肉の発達など
体が男性化することもあります。
このように卵巣嚢腫の大きさが
変化するとさまざまな症状が
引き起こされます。
種類によって治療法や
症状はさまざまですが
どれも放置しておくことで
茎捻転をおこしショック状態に
陥る可能性があるという点では
共通しています。
できるだけ早期発見できるように
自分の体の小さな変化も
見逃さないようにしましょう。