卵巣嚢腫が5センチの時とは?
ここでは、「卵巣嚢腫が5センチの時」
についてお話します。
卵巣嚢腫の治療方針やスケジュールを
決める際に、その時の卵巣嚢腫の
大きさを見て判断することが多いです。
卵巣嚢腫の治療の話をするときに
よく見かける5センチという
大きさは何を指しているのでしょうか?
今回は5センチの
卵巣嚢腫についてご紹介します。
5センチとは何の目安なの?
卵巣嚢腫における5センチとは、
手術で摘出が必要になる
大きさの目安です。
卵巣嚢腫は初期症状が乏しいため、
発見時にはすでに5センチを
超えている場合も多いです。
なぜ、目安が5センチなのかというと、
5センチを超える卵巣嚢腫は
悪性化している可能性や、
今後悪性化してしまう可能性が高いからです。
また、5センチ以上の卵巣嚢腫は
茎捻転という症状を
起こしやすくなります。
茎捻転とは卵巣につながる
靭帯が嚢腫の重さでねじれて
激しい痛みやショック症状、
意識消失を伴う状態です。
茎捻転が起きると救急搬送、
緊急手術が必要になります。
また、5センチ以上の卵巣嚢腫は
破裂する可能性があります。
粘液嚢腫は特に破裂しやすく、
破裂した時に中身が
お腹の中に飛び散ると、
腹膜炎などの症状を
引き起こしてしまい非常に危険です。
粘液嚢腫だけではなく、
チョコレート嚢胞や漿液性嚢腫でも
破裂することがあります。
大きさが5センチより小さい
状態で発見された場合には
定期的に検査を受けて様子を見るか、
手術で摘出するか選択することができます。
しかし、大きくなるスピードが
異常に速かったり、定期健診で
5センチを超えたことが
確認された場合には手術が必要になります。
5センチを超える卵巣嚢腫の
場合にはどのように治療するの?
卵巣嚢腫の手術には腹腔鏡手術と
開腹手術の2種類があります。
腹腔鏡手術は腹部に小さな穴を
4〜6箇所開けて、そこから腹腔鏡
というカメラと特殊な手術器具を入れて
嚢腫を摘出する方法です。
腹腔鏡手術は傷が小さいために
術後の創痛も少なく、
早期退院が可能になります。
一方で開腹手術は腹部を
8から10センチ切開し
十分な視野を確保して行われる術式です。
視野が十分で手術部位に
直接手で触れることも可能なので
突然の出血にも十分対応でき、
取り残しもほとんど起こらない
安全な術式です。
また、開腹手術は特殊な
機械が必要ないので
病院が限られることもありません。
このような術式の選択は卵巣嚢腫の
大きさや患者の年齢や状態によって
選択されます。
卵巣嚢腫が5センチ以下の場合には
基本的には腹腔鏡での手術が可能ですが、
5センチ以上になると
開腹手術での摘出が必要です。
このように、5センチという
卵巣嚢腫の大きさは、手術での
摘出をするかの選択をする境界ですし、
手術の術式を決めるときにも
参考にされる大きさの指標です。
卵巣嚢腫は10〜15センチほどまでに
大きくなる可能性もあり、5センチは
全体的に見れば小さい方なのかもしれません。
しかし、放置しておけば
危険な状態になりかねませんので
きちんと治療をすることが必要になります。